【経済ニュース】ネット証券はメガバンクや大手証券には勝てない!その理由とは・・・【2020】

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最近よく「ネット証券がメガバンクや大手証券に勝つ日がくる」というような記事を目にします。

個人的な考えになりますがこのような事は日本では起こらないと考えます。
※あくまでも個人的な意見であり詳しく書くと長くなりすぎるのでできるだけ簡単に書いていきます。

理由は5つ。

1.口座数だけで優劣は決まらない


ネット証券の口座数がいずれ大手証券の口座数を抜くと言われていますが、ネット証券で口座を開く人の大半は若い世代です。 日本の個人金融資産の大半は60歳以上が占めます。重要なのは口座数ではなく預かり残高です。いくら若い世代の口座数が増えようが株取引がメインでしょうし、預かりも少ないでしょう。

また、高齢化社会の為、いずれ相続で若い世代に資産が移転してくるということを考えても、まだまだ時間がかかります。これからの金融の仕事は株だけでなく身の回りのお金の事、例えば、相続や贈与、年金、保険、不動産などトータルでの知識が必要でありコンサルタントが中心になります。現に海外の証券はこれが一般的。ただ手数料が安いだけではまず100%生き残れません。ネット証券会社同士の消耗戦が始まるでしょう。だからこそ今ネット証券は銀行を取り込み店舗を持ちコンサルに力を入れようとしています。資金がないネット証券は淘汰される事になります。
ただし、単なるネット証券ではなくLINE証券やone tap buyなどのサービスはどんどん若者へ普及し拡大する分野になるでしょう。

2.日本で手数料0は早すぎる


大手ネット証券はこぞって株の取引きや投信の手数料を0にしていく方向で進んでいます。
ここで今一度考えてもらいたい事があります。

手数料0ということは会社の収益が下がる、ということはそのままでは会社の業績は下がるだけ。その為に他の収益源を作り0にした分を補うために別の負担をお客様にかけるようになるだけのことです。例えばネットでの信用取引の買い方への融資金利、売り方への長期貸株料を引き上げたりしているネット証券が出てきてます。

先程、1.でも伝えましたが銀行を取り込もうとすれば提携だろうがどんな形でさえ何かしら費用がかさみ歪みは100%起きてきます。 そのような事まで理解せずにネット上では手数料0やコストの事だけで全く本質を理解していない意見ばかり。このような話ばかり出てくると日本の金融業界はますます縮小しいいサービスが提供できなくなる恐れがあります。

また、なぜ日本は手数料0が早すぎると言ったのか、それはアメリカを見てみればわかります。
アメリカもネット証券はこぞって手数料0を打ち出していますが大手証券は無関心。なぜならアメリカの証券会社のビジネスモデルは数十年かけ手数料ビジネスからストックビジネスに移行してきているからです。ここで手数料ビジネスとストックビジネスとの違いを説明してみましょう。
まず、手数料ビジネスはその名の通り、株や投信、保険などを購入、契約する際に発生する手数料を収入源にするモデルです。
そして、ストックビジネスというのは投資信託や一任口座の運用管理費等を継続的に収入源にするモデルです。

このモデルのメリットは手数料ビジネスよりも相場の変動にあまり左右されないことにあります。手数料ビジネスだとどうしても経済危機などで株価が急落するたびに売買が減り収入が減ります。

ストックビジネスであれば売買とは関係ないので投資信託や一任口座の預かり残高が多ければ多いほど収入が入るし、ある程度の収入は見込めます。それではなぜアメリカではストックビジネスに移ることができたのか。
それは、アメリカの金融教育がしっかりしており、昔から資産管理の中心が預金ではなく有価証券だったからです。投信や一任口座の残高を積み上げやすい環境があり、さらには手数料ビジネスを続けていくことに限界がある事を昔からアメリカの金融業界が認知していたからです。
アメリカの個人金融資産の半分は有価証券で日本は逆に半分が増えもしない預貯金で、アメリカよりも10~20年遅れと言われる日本人の金融リテラシーで(未だに株はギャンブルだと勘違いしている人が多すぎる)ビジネスモデルの転換が出来ていない状態である中、アメリカと同じように手数料0にしても逆にきつくなるのはネット証券であることは間違いないでしょう。

もちろん将来的には手数料0になるでしょうがそれをするよりもまず「貯蓄から投資へ」の流れを作る為、国や金融機関が投資への機会や理解を深める環境を整える方が先のような気がします。手数料0にしていくには判断が早すぎでしょう。

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3.進む地銀やメガバンクの再編


銀行や証券会社もバカではありません。低金利時代で収益が減り続け、このような流れが来ることは最初からわかっていたこと。店舗を持ちながら資金力がある銀行が様々な金融機関やIT会社と合併していく流れは大きくなってくるはずです。

メガバンクや大手地銀は子会社に証券会社を持っているところも多いわけですから、これからはコンサル+投信や保険販売などで収益を増やしつつ、ネット分野の強化に動いてくるでしょう。力のない地銀はどんどん吸収されながら力を持った銀行が生まれてくる事が予想されます。

先程の2.でも伝えましたが日本の個人金融資産の半分以上は預貯金です。ちなみに日本の個人金融資産はおおよそ1900兆円。つまり銀行に預けている資金は900兆円以上になります。この資金が動き出す事が一番重要な気がしますが。

4.再度、大手証券会社の社会での役割を思い出そう


以前大手証券会社の赤字から改めて気づかされた日本の金融知識の低さで紹介させていただきましたが
一般的に証券会社の仕事は4つに分類されます。

①ブローカー業務
これが一般的な証券営業。投資家の売買注文を受け証券取引所への取次を代行する業務。

②ディーラー業務
証券会社自身が自社の資金をもとに株式の売買を行う事。

これらの①と②は株式の売買代金が細らないように流通市場を活性化させる役割も同時に持ちます。

③アンダーライティング業務
会社や国が株や債券を新たに発行するときに、証券会社がそれらを買い取り、発行や募集の手続きを行って投資家に売り出す業務です。

④セリング業務
アンダーライティング業務に似ていますが、新たに発行される株や債券、すでに市場に出回っている株などの公募や売り出し等の委託を受け多くの投資家にセールスする業務です。

③と④があることで株式会社や国は市場から資金調達をすることができます。これがなければこの社会は成り立ちません。
また、現在の大手証券はほとんどの場合、相続や年金、保険、不動産、M&Aなど中小企業オーナー向けサービス等多岐にわたる業務も同時に行っています。

仮にネット証券が大手証券に勝つようなことになり大手証券の規模が縮小していったとしましょう。ネット証券だけでは市場の維持はまず100%無理です。

例えば、ここ最近で一番大きかったIPOでいうとソフトバンクグループの子会社であるソフトバンクが上場した時の事を思い出しましょう。
ネットだけでやっている人は上場日の価格の事ばかりネットで書き込みをしネガティブな情報を流し新たな株式参入者を妨げるような行為ばかり。

7兆円というとんでもない資金調達となりましたが、もしネットだけであれば市場にこの株数を提供する事はできなかったでしょう。

何度も言いますが対面営業はまずなくなりません。そして、ネットが対面を抜くというより共存しか日本人の金融リテラシーを向上させ国が掲げる「貯蓄から投資へ」は体現できないでしょう。

5.ITだけでは意味がない


IT分野の拡大・AIの進歩で人は不要になるというようなニュースや記事も良く目にしますが、今の段階では製造業や事務関連だけになると思われます。AIを進歩させる為には人々の行動から様々なデータ、いわゆるビッグデータの蓄積が重要です。

ネットだけでは不十分である為、アマゾンはネットから実世界、店舗を展開しながらネット+店舗に移行しようとしています。

これからはネット+店舗の併用が強くなるとするならば、最初から対面に強い銀行や大手証券の方がネット証券より強いのは明らかだと考えます。なぜならネット証券が今さら店舗を持っても人材の確保や教育、費用もろもろ時間がかかる事は目に見えているからです。銀行や大手証券はIT会社と提携しネットに力を入れていけばいいだけですから。


以上がネット証券が銀行や大手証券に勝てないと考える理由です。

ただし、勘違いしてほしくありませんが、ネット証券を批判する為にこの記事を書いたわけではありません。

一番伝えたかったのは、ネット証券しか使わず、短期売買を繰り返し、コストの事ばかり考え運用の本質的なものが見えていない人達が多すぎたり、たった1年2年積立しただけで資産がマイナスになっているから意味がないとか記事にしている人がいたり(積立は長い時間継続する事によって利益を出す確率を上げていく手法ですから1~5年でどうのこうの言うのは筋違い)、証券税制について文句をいう記事(そんな事は金融庁に言えば良いと思う)だったり、金融の現場にもいないユーチューバーが好き勝手言ってたりと、言い出したらキリがないですが、あまりにもネットに出回る情報が偏りすぎている事に気づいて欲しい、日本の金融市場の現状をしっかり理解して欲しいという事です。

今回記事にしている内容はかなり簡単にしていますし書ききれなかった部分も多々あります。関心持った方は是非、自分でも調べてみて下さい。




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